乳がんになったらお金はいくらかかる?私の治療費と助けられた制度

乳がんと診断されたけど、治療費って一体いくらかかるんだろう・・・?

乳がんだと告知を受けた時、病気のことだけでも頭がいっぱいなのに、これからかかる治療費のことが不安になっていませんか?
私もそうでした。
でも、安心してください!
高額な治療費も、日本の公的制度や民間保険などを利用すれば、案外苦しまずに乗り越えられるものです。
今回は、私が実際にかかった治療費を交えて、乳がん治療にまつわる費用についてご紹介します。
大した貯金も無かった私でも破産せず生きてますから!(笑)
一人で抱え込まず、一緒に見ていきましょう!


「乳がんの治療費っていくらかかる?」診断直後の大きな不安

がんが見つかった時、まず頭を悩ませたのが「あと何年生きられるの?」と命に関してのこと。
そして、次にリアルな問題として迫ってきたのが「お金」のことでした。
「これから治療にいくらかかるんだろう?」
「貯金で足りる・・・わけないよな」
「がん保険ってちゃんと使えるのかな・・・」
と、不安で仕方がありませんでした。
乳がんだと告知されたとき、諸々の支払いが重なった時期だったので、貯金は30万円もなかったと思います(笑)

病院ってメニュー表みたいなものがないから「おおよそこのくらいかかる」という目安もわかりませんし、漠然とがん治療には「高額な医療費がかかる」というイメージを持ってしまいますよね。
でも、大丈夫です!
日本には、私と同じような貯金額が寂しい人でも安心して治療を受けられるように、医療費負担を軽減する制度がありますから!
まずは、私の具体的な治療費の経験から、どんな費用がかかるのかイメージをつかんでいきましょう!

私が実際に支払った乳がん治療費用の内訳

私の乳がんの治療はこちら
- 右胸全摘・同時再建手術で12日間入院
- TC療法(抗がん剤治療)を4クール
- ホルモン療法(現在も継続中)
それぞれの治療で、実際にどのくらいの費用がかかったのか、具体的な内訳をお話ししていきますね。
手術と入院にかかった費用
手術入院の窓口負担額は、だいたい9万円くらいでした。
この金額は、後ほど詳しくご説明する「高額療養費制度」を利用した自己負担額です。
3割負担額だと約60万円、10割負担額だと約200万円くらいかかっていたかと思います。
これだけかかる治療費も「高額療養費制度」を使うだけで、グッと負担が減るので安心してください!

抗がん剤治療(TC療法)の費用
手術の次に始まった抗がん剤治療関係の1クールの費用はこんな感じでした。
- 抗がん剤(TC療法)の費用: 14,000円〜16,000円程度
- 白血球を増やす注射(ジーラスタ):1回33,000円
- その他副作用を抑える薬代:3,000円〜4,000円程度
私は抗がん剤を4クール(3週間で1クールを4回)行ったので、単純計算だと合計200,000円~212,000円くらいかかった結果になります。
こちらも高額療養費制度を利用できた月もあったので、負担額はもう少し軽かったかと思います。

ホルモン療法の費用(現在進行中)
抗がん剤治療が終わった後は、ホルモン療法に入りました。
こちらは現在も治療を続けています。
- 注射薬(リュープリン):1回14,000円程度
- 飲み薬(タモキシフェン・その他副作用を抑える薬):3,000円〜4,000円程度
これらは3か月に1度、処置・処方してもらっています。
ホルモン療法は負担額は比較的少ないですが、長期間続くため(私は10年推奨されてます)、トータルではそれなりの費用になります・・・。

その他の各種検査費用(PET-CT、MRIなど)
手術前には、病状を把握するために検査も行いました。
- PET-CT: 33,000円程度(手術前に1度だけ)
- MRI: 7,000円〜8,000円程度(手術前に数回、治療後は体調が優れない時のみ)
他にも、乳房エコーやマンモグラフィもあります。
(エコーとマンモの費用に関しては、私はいつも他の治療と抱き合わせて検査しているので、それぞれの費用がよくわからなかったので今回は割愛しています・・・)
私を支えた治療費の自己負担を大幅に抑えてくれた制度

治療費の窓口負担が高額だと感じずに済んだり、生活費を切り詰めて暮らさずに済んだのは、日本の素晴らしい医療制度と、加入していた民間保険のおかげでした。
本当に公的保険(高額療養費制度)は素晴らしい!

60万円が10万円以下に!「高額療養費制度」
高額療養費制度は、医療機関の窓口で支払う医療費が、ひと月(1日から末日まで)で自己負担限度額を超えた場合、その超えた分が払い戻される制度なんです。
所得によって上限額は異なりますが、私の場合は窓口負担が本来なら60万円かかるところが、10万円以下に抑えられました!
高額療養費制度は、本当に私たち患者の強い味方!
このおかげで破産せずに治療が受けられました!!!

高額療養費制度で払い戻されるのは約3か月後なので「限度額適用認定証」を申請するのがオススメ!
高額療養費制度は、基本的には医療費を支払った後に申請して払い戻しを受ける形になります。
払い戻しされるまでには約3か月程度かかると言われていて、その間は自分で立て替える必要があります。
ただ、事前に「限度額適用認定証」を取得しておけば、医療機関の窓口での支払いが最初から自己負担限度額までになるので、一時的な立て替えもなく、とっても安心です!
「上限がある」と分かっているだけで、費用への不安がグッと減り、治療としっかり向き合えました!
私の時は、健康保険組合に書類を提出する必要がありましたが、今は「マイナ保険証」を使えば、事前に申請しなくても、窓口での支払いが自己負担限度額までになるそうですよ!

精神的安心をくれた「がん保険の一時金」
私は当時、掛け捨ての医療保険とがん保険に加入していました。
中でも特に、がん保険の「診断一時金」には、めちゃくちゃ安心させてもらいました。
がん保険の診断一時金は、がんと診断が確定したら、すぐに申請できる給付金のこと。
検査や入院治療が始まる前に、まとまったお金が振り込まれたので、「治療費が払えなかったらどうしよう・・・」という不安が和らぎました。
”あとで”保険金が入ってくるのと、”今”手元にお金があるのとでは心の安定に雲泥の差があります。
ただでさえ病気で心がグラついているから、せめて金銭面の心配は和らげておきたいですよね。

手厚さに感動!「社会保険(傷病手当金・付加給付金)」
私は会社勤めもしているので、社会保険(健康保険)に加入しています。
こちらも本当に手厚いサポートがあるんですよ。
まずは「傷病手当金」。
これは、病気やケガで会社を休んだ時に、給料の一部が支給される制度です。
私の場合、手術入院から抗がん剤治療の副作用が落ち着くまでの約7か月は休職をしていました。
収入が無くなる中で、この手当金は本当に助けになりました。
当時は宅録もブログもしていなかったので無収入になるところでした・・・

また、私が加入している健康保険組合には、「付加給付金」という制度もあり、ひと月の医療費を更に軽減してくれました。
付加給付金とは、高額療養費制度が適用されたあとの医療費からさらに軽減される制度です。
どれくらい軽減してくれるかは保険組合によって変わるようなので、気になる方は保険組合のHPを確認してみることをオススメします。
私の場合、付加給付金は手続き不要で勝手に適用される形でした。
なのではじめ「え?なんでお金入ってきてるの?振込ミス?」と混乱してました(笑)

高額な医療費を払う場面に立ち会って初めて気づく保険の心強さ。
今まで保険料を納めてはいたものの、「病院にかかったときに3割で医療を受けられるもの」程度にしか捉えていなくて、どんな制度を受けられるのかは理解していませんでした。
これらの制度があったおかげで、私は金銭的不安から解放されて治療に専念できました。
医療費以外にもかかった乳がんにまつわるお金

治療にかかる費用は、病院や薬局の窓口で支払う医療費だけではありません。
治療を進める中で発生する「医療費以外の出費」も当然あります。
通院交通費
治療期間中は、病院への通院が欠かせません。
私の場合は基本的にマイカーだったので、ガソリン代が主でした。
電車やバスを利用する場合は、もちろん交通費が発生します。
日用品費
私の場合、入院時は前開きのパジャマを推奨されたので新しく購入しました。
パジャマも下着も3枚程度は持ち込まないといけなかったので(洗い替え用や予備などで)、意外と衣類の購入も多かったです。
あと体調が悪い日が増えていき、洗顔やボディソープなどを泡立てる気力さえ湧かなかったので、泡で出てくるものに買い替えたりもしましたね。
入院~自宅療養期間はパジャマでいることがほとんど。
肌触りやデザインなど少しでも自分の気分があがるものを選ぶといいですよ!

医療用ウィッグ代
私は、医療用ウィッグを2つと、専用のシャンプーなどのケア用品で、合計50,000円前後かかりました。
ウィッグは種類や品質によって値段の差はありますが、自分に合うもの、納得できるものを選ぶことが大切です。
「病気だからオシャレはできないよね・・・」と諦める必要なし!
今は可愛くて高品質なリーズナブルな医療用ウィッグもたくさんありますよ!


心と体を快適にするための費用
私は乳がんを機に思い切って
- 寝具(マットレスと枕)の新調:20,000円程度
- 娯楽品(好きなアニメのBlu-raybox):40,000円程度
を購入しました。
「絶対に必要」というものではないかもしれませんが、治療中のQOL(生活の質)を高めるのは精神的にも良いかなと思ったので奮発しました!
どうしても家にいる時間が多くなるので、無理のない範囲で、ご自身を癒すための出費も検討してみてくださいね!

治療費の不安を乗り越えるために私が実践したこと

治療費などの出費があっても、私自身が不安を乗り越えてこられたのは、こんな「考え方」と「実践」があったからです。
「体と心を健康にすることが優先」という考え方
私は、「少しでも快適になるなら」「心の負担が減るなら」と必要な出費は惜しまないスタンスでいました。
もちろん必要以上の出費は禁物ですが、自分を労わるための投資は、結果的に治療を続けるモチベーションにも繋がると感じています。
「後にも先にもこれでがん闘病は最後だし!こんな時くらいは自分を甘やかしたって良いよね!」そんなスタンスでいました。

少しでも節税を!確定申告で医療費控除にトライ!
医療費控除は誰でもできる節税対策。
治療にかかった費用は、医療費控除の対象になります。
私は、医療機関の領収書はもちろん、通院にかかった交通費(たまに電車やバスを使っていたので)の記録もし、すべて保管しています。
これらをまとめて確定申告時に申請することで、少しでも節税ができます。
医療費控除はそんなに難しいものでもなく、特にマイナポータルを使えば自動取得もできて、ほとんど何もせずに申請することができます。
治療によって収入が減ることもありますから、少しでも税負担を軽くできるのは嬉しい!
「使えるものは使う!」このスタンスは大事ですよ!

まとめ:公的保険があれば金銭面はだいたい大丈夫!

乳がんの治療費は、決して安いものではありません。
でも、私の経験からもわかるように、日本には「高額療養費制度」という心強い医療制度があり、「傷病手当金」や「付加給付金」などの社会的なサポートもあります。
傷病手当金や付加給付金は社会保険のみだったり、保険組合によって差がある場合もありますが、高額療養費制度は社保・国保ともに使える制度です。
これだけでもグッと負担額が減るので、金銭的な不安から解放されて病気と向き合える気持ちが作れるかと思います。
この記事を読んで少しでも「大丈夫かも」と感じてもらえたなら、とっても嬉しいな。

私も闘病生活半ば。
一緒に治療を乗り越えていきましょうね!
頑張らないように頑張って、がんのヤローをぶちのめしましょー!

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
▼乳がんの前向き闘病日記の記事はこちら▼
