宅録初心者向け|自宅でできるナレーションのボイスサンプルの作り方

宅録ナレーターを始めるなら、ボイスサンプルが必要って聞いたけど…そもそもボイスサンプルって何?自宅でも作れるの?

どんな内容を、どうやって録ればいいんだろう?
そんなふうに悩んでいませんか?
ボイスサンプルは、「声の名刺」ともいわれる、ナレーターや声優にとって大切なアピール材料です。
特に宅録ナレーターの場合は、声質や表現だけでなく、実際にどのくらいの音質で納品できるのかを伝える見本にもなります。
私自身も宅録ナレーターとして活動する中で、仕事に使う自宅でボイスサンプルを作ってきました。
この記事では、
- ボイスサンプル(サンプルボイス)とは何か
- ボイスサンプルは自宅でも作れるのか
- 作る前に押さえておきたいポイント
- 自宅での具体的な作り方
を、私が普段行っている方法も交えながら紹介します。

「何から始めればいいんだろう?」という方も、ひとつずつ一緒に見ていきましょう。
ボイスサンプル(サンプルボイス)とは?
ボイスサンプルとは、自分がどんな声で、どんなナレーションや表現ができるのかを伝えるために録音した音声のことです。
「声の名刺」と呼ばれることもあり、ナレーターや声優が仕事を獲得するうえで大切なアピール材料のひとつです。
ナレーションを依頼するクライアントは、

企業のサービス紹介動画だから、落ち着いた声で信頼感のあるナレーションがいいな

クールでかっこいいCMに合う声の人を探したい
といったように、制作する動画や広告のイメージに合うナレーターを探しています。
そんなとき、候補となるナレーターの声や表現を確認するために使われるのがボイスサンプルです。
案件によっては、
「落ち着いた雰囲気のサンプルを送ってください」
「この原稿を読んだ音声を送ってください」
など、応募時や選考時にボイスサンプルの提出を求められることもあります。

文章で「落ち着いた声が得意です」と伝えるより、実際の声を聞いてもらった方が、クライアントも完成後のイメージをつかみやすいですよね。
また、宅録ナレーターの場合は、声質や表現だけでなく、収録した音声の品質もボイスサンプルの一部です。
「この人に依頼すると、どのくらいの音質で納品してもらえるのか」という判断材料にもなるため、実際の仕事で使う収録環境で作っておくことも大切です。
宅録ナレーターの仕事内容や始め方をまだよく知らないという方は、こちらの記事も参考にしてみてください。


ナレーションのボイスサンプルは自宅でも作れる

ボイスサンプルが大切なのは分かったけど、自宅でも作れるの?
と不安に思う方もいるかもしれません。
ナレーションのボイスサンプルは、基本的な宅録環境があれば自宅でも作れます。
用意したいものは、主にこちらです。
- ナレーション原稿
- 録音するための宅録機材
- 音声を整えるためのソフト
- BGM
- サムネイルを作るためのツール
すでに宅録を始めるための機材がそろっている方なら、新しく特別な機材を用意しなくても作れます。
「まだ宅録機材をそろえていない」という方は、こちらの記事もどうぞ。
宅録初心者向けに、必要な機材とおすすめをまとめています。

また、宅録ナレーターの場合は、実際に仕事で使う収録環境でボイスサンプルを作れることも、自宅制作のメリットです。
声や表現だけでなく、録音したときの音質までクライアントに伝えられるので、「この環境で納品できます」という見本にもなります。

ボイスサンプル作りは、自分をアピールする準備になるだけでなく、原稿作りや録音・整音を通してナレーションの練習にもなるんですよ。
ナレーションのボイスサンプルを作る前に押さえておきたいポイント
ボイスサンプルは、ただ声を録音すればいいというものではありません。
どんな読み方を見せるか、どのくらいの長さにするか、どんな原稿を使うかなど、作る前に少し整理しておくと、より自分の魅力が伝わりやすいサンプルになります。
ここでは、ボイスサンプルを作る前に意識しておきたいポイントを、
- 方向性
- 原稿
- 録音環境
の3つに分けて見ていきます。

【方向性】得意な読み・強みが伝わる内容にする
ボイスサンプルは、自分の声や表現を知ってもらうための大切なアピール材料です。
クライアントから読む原稿を指定されていない場合は、自分で内容を考えて作ることになります。
せっかく自分で作れるのであれば、
- 自分が読みやすい言葉や言い回し
- 自分の声質や雰囲気に合った内容
- 得意な表現が伝わりやすい読み方
を意識して、自分の魅力が伝わるボイスサンプルを作ってみましょう。
苦手なジャンルや表現を、無理にボイスサンプルへ入れる必要はありません。
もちろん、言いにくい言葉や苦手な表現は普段から練習しておくことも大切ですが、ボイスサンプルではまず「自分はこんな読みが得意です」と伝えられる内容を優先して大丈夫です。
「自分の得意な読みがよく分からない……」という方は、家族や友人など周りの人に、

私の声ってどんな印象?
と聞いてみたり、ほかのナレーターの声や読み方と聞き比べたりするのもひとつの方法です。

自分では当たり前だと思っていた声の特徴が、意外と強みとして見つかることもありますよ
【方向性】複数パターンのボイスサンプルを用意する
ボイスサンプルは、1種類だけでなく、雰囲気の違うものをいくつか用意しておくのがおすすめです。
ナレーションの案件によって、求められる声や読み方はさまざまです。
たとえば、
- 明るく元気なナレーション
- 落ち着いた、信頼感のあるナレーション
- 飾りすぎないナチュラルなナレーション
- クールでかっこいいナレーション
など、いくつか違うイメージのサンプルを作っておくと、応募する案件に合わせて選びやすくなります。
案件のたびに新しく録音する方法もありますが、あらかじめ複数のパターンを用意しておけば、必要なときにすぐ提出できるのもメリットです。
また、いろいろな読み方で作ってみることで、

私、この雰囲気のナレーションは読みやすいかも

こういう表現は自分の声に合っているな
と、自分では気づいていなかった得意分野が見えてくることもあります。

最初からたくさん作ろうとしなくても大丈夫です。
まずは、自分が得意そうなものを中心に、少しずつパターンを増やしていきましょう
【方向性】1本30秒程度を目安にする
ボイスサンプルは、1本30秒程度を目安に、短めに作るのがおすすめです。
短いボイスサンプルなら、ナレーター側も複数のパターンを作りやすく、クライアント側も短時間で声や読み方の違いを確認できます。
クライアントは、ナレーターを選ぶ際に複数人のボイスサンプルを聞くこともあります。
以前、ワークショップで現役のテレビディレクターさんのお話を伺ったときにも、

全部同じ文章でいいから、短いものを複数パターン収録してもらえると選びやすくて助かる
とおっしゃっていました。
長いストーリーをひとつ完成させることよりも、短い時間の中で「どんな声・読み方ができるのか」が伝わることを意識してみましょう。

30秒程度の短いサンプルをいくつか用意しておくと、案件に合わせて提出するものを選びやすくなりますよ。
【原稿】既存CMなどをそのまま使わない
ボイスサンプルの原稿は、できるだけ自分で用意するのがおすすめです。
テレビCMや企業動画など、すでに公開されているナレーション原稿をそのまま使うのは避けましょう。
実際に使われている原稿は参考になりますが、そのまま使用すると著作権などの問題につながる可能性があります。
気になるCMやナレーションを見つけたときは、
- どんな言葉の長さになっているか
- どんなテンポで読まれているか
- どんな雰囲気の文章になっているか
といった部分を参考にしながら、オリジナルの原稿を作ってみるとよいでしょう。

最初からうまく書こうとしなくても大丈夫。
自分が見せたい声や読み方を先に決めて、それに合う文章を考えていくと作りやすくなりますよ
【原稿】AIで作った原稿は必ず自分で修正する
ボイスサンプルの原稿作りでは、ChatGPTなどの生成AIを使うと、たたき台を簡単に作ることができます。
「明るく元気なCM風」「落ち着いた企業VP風」など、イメージを伝えると原稿案を作ってもらえるので、文章を考えるのが苦手な方にはとても便利です。
ただし、AIが作った文章をそのまま使うのではなく、必ず自分で読みやすい形に修正しましょう。
実際に声に出してみると、
- 言い回しが少し不自然
- 一文が長くて読みづらい
- 自分の声や雰囲気に合わない
- 30秒程度に収まらない
といった部分が見つかることがあります。
ボイスサンプルは文章そのものを見せるものではなく、自分の声や表現を伝えるためのものです。
AIは原稿作りを手伝ってもらう道具として使いつつ、最後は自分が読みやすく、魅力を出しやすい文章に整えてみてください。

既存の作品やCM表現に似すぎていないかも確認しながら、自分の言葉に整えておくと安心ですよ
【録音】実際の仕事で使う収録環境で録る
宅録ナレーターとして仕事に使うボイスサンプルは、実際の仕事で使う予定の収録環境で録るのがおすすめです。
ボイスサンプルでは、声質や表現だけでなく、
「この人に依頼したら、どのくらいの音質で納品してもらえるのか」
という部分もクライアントに確認してもらえます。
そのため、ボイスサンプルだけスタジオなど普段とは違う環境で収録すると、実際に納品するときの音質と差が出てしまうこともあります。

私自身も、案件によっては「普段の宅録環境で録ったサンプルを送ってください」と求められたことがありました。
宅録案件への応募に使うボイスサンプルなら、普段仕事で使う環境で録っておくと、声だけでなく収録環境も含めて知ってもらいやすくなります。
「実際にどうやって録音したらいいの?」という方は、こちらの記事で宅録ナレーションの録音方法を詳しく紹介しています。


マイクの位置や録音レベル、反響音対策などもまとめているので、収録するときの参考にしてみてくださいね。
自宅でできるナレーションのボイスサンプルの作り方
ここまでポイントを確認したら、いよいよ実際にボイスサンプルを作っていきましょう。
今回は、テーマ決めから原稿作成、録音・整音、完成後のチェックまで、7つのSTEPに分けて紹介します。

①テーマ・イメージを決める
まずは、どんなナレーションのボイスサンプルを作りたいのか、テーマやイメージを決めます。
考えるのは、
- どんな印象を伝えたいか
- そのイメージに合う題材は何か
の2つです。
たとえば今回は、
伝えたいイメージ:落ち着いた雰囲気のナレーション
題材:架空の電子マネー「ぽいぽい」の使い方を説明するナレーション
という設定で作ってみます。

テレビCMや企業動画、WEB広告など、普段耳にするナレーションを参考にしながら、「こういう雰囲気の読みをやってみたいな」と思うものから考えてみると作りやすいですよ。
ただし、実際に使われている原稿をそのまま使うのではなく、テーマや雰囲気だけ参考にして、原稿は自分で用意しましょう。
②ボイスサンプルの原稿・台本を作る
テーマやイメージが決まったら、次は実際に読む原稿を作ります。
原稿は自分で一から考えてももちろんOKですが、文章を作るのが苦手な方は、ChatGPTなどの生成AIを使ってたたき台を作るのがおすすめです。
たとえば今回なら、
「落ち着いた雰囲気のナレーションのボイスサンプルを作りたいです。
30秒程度で読める、電子マネー『ぽいぽい』の利用方法を説明するナレーション原稿を作ってください」
といったように、
- どんな雰囲気にしたいか
- どんな題材にするか
- どのくらいの長さにしたいか
を伝えると、イメージに近い原稿案を作ってもらいやすくなります。

③声に出して練習し、原稿を修正する
原稿ができたら、実際に声に出して読んでみましょう。
文章として読むと自然に見えても、声に出してみると
- 少し言いづらい
- 一文が長くて息が続かない
- 自分の声の雰囲気に合わない
- 30秒程度に収まりきらない
といった部分が見つかることがあります。
その場合は、言いやすい言葉に置き換えたり、文を短くしたりしながら、自分が読みやすい形に調整していきます。
また、AIで作った原稿の場合は、既存のCMや作品の表現に似すぎていないかも確認しておきましょう。
著作権侵害のリスクをできるだけ減らすためにも、そのまま使うのではなく、自分の言葉や表現に整えておくと安心です。
ボイスサンプルは、原稿の内容そのものよりも、自分の声や表現の魅力が伝わることが大切です。
実際に読んでみて、「この言い回しの方が自分らしいかも」と感じたところは、遠慮なく修正して大丈夫です。

声に出して練習しながら整えていくことで、より自分に合ったボイスサンプルに近づいていきますよ
④自宅で録音する
原稿の準備ができたら、実際に自宅で録音していきます。
ボイスサンプルは、できるだけ実際の仕事で使う予定の収録環境で録るのがおすすめです。
録音前には一度テスト録音をして、
- 声が小さすぎたり大きすぎたりしないか
- 周囲の生活音や環境ノイズが入っていないか
- マイクとの距離は問題なさそうか
を軽く確認してから本番収録に入ると安心です。
「宅録での録音方法も詳しく知りたい」という方は、こちらの記事もどうぞ。
マイクの位置や録音レベル、反響音対策など、私が普段行っている宅録ナレーションの録音手順をまとめています。

⑤音声を整音する
録音が終わったら、次は音声を整えて(整音して)いきます。
ボイスサンプルでは、
- 不要な部分をカットする
- ノイズをできる範囲で減らす
- 不自然な間を整える
- 全体の音量を確認する
といった基本的な整音をして、聞きやすい状態に仕上げていきましょう。
ただし、加工しすぎて声の印象が大きく変わってしまうのは避けたいところです。
ボイスサンプルは、実際にどんな声・音質で納品できるのかを伝えるものでもあるので、普段の納品と同じくらいの整音を意識するとよいと思います。
「整音って具体的に何をすればいいの?」という方は、こちらの記事もどうぞ。
宅録ナレーションで私が行っている整音の流れを、8ステップに分けて紹介しています。

⑥ファイルやサムネイルを整える
整音が終わったら、提出や公開に使いやすいようにファイルを整えていきます。
複数のボイスサンプルを作った場合は、1つずつ個別のファイルで保存しておくのがおすすめです。
たとえば、
- 明るいナレーション
- 落ち着いたナレーション
- ナチュラルなナレーション
というように分けておくと、

落ち着いた雰囲気のサンプルを送ってください
と言われたときにも、すぐに選んで提出できます。
ボイスサンプルの音声ファイルは、WAVまたはMP3で保存しておけばOKです。
WAVは音質を保ったまま保存できる形式で、MP3はデータ容量を小さく(圧縮)した形式です。
WAVからMP3へ変換することはできるので、あとから「MP3でください」と言われても対応できるので、迷った際はWAVで保存することをおすすめします。
ただし、WAVはMP3よりファイルサイズが大きくなります。
ポートフォリオへの掲載などで容量が気になる場合は、MP3を使っても大丈夫です。

提出するときにファイル形式の指定がある場合は、その指定に合わせましょう。
BGMは入れてもOK
ボイスサンプルにBGMを入れると、ナレーションの雰囲気が伝わりやすくなることがあります。
ただし、主役はあくまでナレーションです。
声が聞き取りづらくならないよう、BGMの音量は控えめにしましょう。

私は、BGMあり・BGMなしの両方を用意しておくことがあります。
「BGMなしで送ってください」と指定されたときにも対応しやすいので、余裕があれば2パターン作っておくと便利です
サムネイルはできたら用意する
音声ファイルだけでもボイスサンプルとしては問題ありませんが、クラウドソーシングやポートフォリオに掲載する場合は、サムネイルがあると見やすくなります。
サムネイルには、
- 自分の名前
- ボイスサンプルのイメージ
- 使用している機材名
などが分かる程度に入れておけば十分です。
Canvaなどのデザインツールを使えば、初心者でも比較的簡単に作れます。

BGMやサムネイルは必須ではないので、まずは音声を完成させることを優先して大丈夫ですよ
⑦完成したボイスサンプルをチェックする
ボイスサンプルが完成したら、少し時間を置いてから、最初から聞き直してチェックしましょう。
確認しておきたいのは、主にこちらです。
- 読み間違いやアクセントに問題がないか
- ノイズや音割れがないか
- サンプルごとの音量差が大きすぎないか
- ファイル名が分かりやすくなっているか
- 複数パターンを1つずつ個別のファイルで保存できているか
作っている途中は何度も同じ音声を聞くので、意外とミスに気づきにくくなることもあります。

少し時間を空けて耳をリセットしてから聞き直すと、読み間違いや音の違和感にも気づきやすくなりますよ
まとめ|まずは1本作ってみよう
ボイスサンプルは、自分の声や表現を伝えるための「声の名刺」です。
宅録ナレーターの場合は、声質やナレーションの雰囲気だけでなく、実際にどのくらいの音質で納品できるのかを伝える見本にもなります。
基本的な宅録環境があれば、自宅でもボイスサンプルを作ることができます。
最初からたくさんのパターンを完璧に用意しようとすると大変なので、まずは自分が得意な読みや、挑戦してみたい雰囲気のものから1本作ってみましょう。
一度作ってみると、

次はもう少し明るい雰囲気も作ってみようかな

この読み方は自分に合っているかも
と、次に作りたいものも少しずつ見えてくると思います。
ボイスサンプルを増やしていくことは、仕事へ応募するときの準備になるだけでなく、ナレーションのスキルアップや、自分の得意な読みを知るきっかけにもなります。
焦らず、ひとつずつ自分らしいボイスサンプルを増やしていきましょう。
「宅録ナレーターを始めるには、次に何をすればいい?」という方は、こちらの記事もどうぞ。
宅録に必要な準備から仕事を始めるまでの流れを、まとめて紹介しています。

今回も最後までご覧くださり、ありがとうございました。

