宅録ナレーションの整音とは?初心者向けに基本のやり方を8ステップで解説

お仕事として納品できるレベルの整音って、どこまでやればいいの?

実際に宅録ナレーションを納品している人の整音のやり方を知りたいな…
そんなふうに思ったことはありませんか?
私も宅録を始めたころは、

整音って、どんなことをどれくらいやればいいんだろう…?
ネットで調べながら覚えたくらいのスキルで納品して大丈夫なのかな?
と不安で、なかなか受注へ踏み出せずにいました。
でも実際に宅録ナレーションのお仕事を受けて納品していくうちに、宅録ナレーターが自分で行う整音は、難しい専門的な処理までできなくても大丈夫なんだな、と感じるようになりました。
専門的な音作りは音声編集のプロに任せるとして、私たちは基本的な整音を押さえつつ、「いいナレーションを、できるだけいい音で録ること」を大切にすればいい。
私は今、そんなふうに考えています。
この記事では、私が現在、宅録ナレーションを納品するときに行っている整音の基本的な手順を、実際の作業の流れに沿って紹介します。
「整音ってなんだか難しそう。やったことがない自分にもできるかな…」と感じている方も、そんなに難しく考えなくて大丈夫。
私も最初はよく分からないまま始めました(笑)
まずは、宅録ナレーションで使う基本的な整音から見ていきましょう。
整音とは?
「整音」とは、録音した音声を、聞き取りやすい状態に整える作業のことです。
宅録ナレーションでは、たとえば
- ホワイトノイズを減らす
- リップノイズや突発的なノイズを取り除く
- 歯擦音やポップノイズを必要に応じて整える
- 反響音を目立ちにくくする
- 言い間違いや不要な間をカットする
といった作業をしながら、納品しやすい音声に仕上げていきます。
整音というと、なんだか専門的で難しそうに感じるかもしれませんが、宅録ナレーターが自分で行う範囲なら、まずはこうした基本的な作業を押さえておけば大丈夫です。
私は、録音や大まかな編集には「DAW」と呼ばれる音声編集ソフトを使い、ノイズ除去には専用のソフトを使っています。

整音の手順
ここからは、私が普段ナレーション音源を納品できる状態に整えるまでの流れを紹介します。
この記事では、ノイズ除去だけでなく、言い間違いや不要な間のカット、最後の間の調整までを含めて「整音の手順」としてまとめています。
現在、私が使っているソフトはこちらです。
- DAW:Studio One 6 Artist(現在は販売終了)
- ノイズ除去ソフト:iZotope RX 10 Standard(現在は販売終了)
Studio Oneシリーズは現在Fender Studio Proへ移行していますが、この記事では私が実際に使用しているStudio One 6 Artistをもとに説明します。
RX 10 Standardについては、現在の後継版としてRX 12 Standardが販売されています。
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Studio Oneシリーズの後継にあたるFender Studio Proもありますが、宅録ナレーションで使うだけなら少しオーバースペックかな、と私は感じています。
今回は詳しい紹介はしませんが、気になる方はFender Studio Proもチェックしてみてくださいね。
このあと紹介する整音の手順は全部で8ステップです。
「8ステップもあるの?」と思うかもしれませんが、ひとつひとつは難しい作業ではありません。
実際の流れに沿って、順番に見ていきましょう。
①DAWで言い間違いや不要な間をカットする
まずはDAWで、録音したナレーション音声を台本どおりに整えていきます。
言い間違いや言い直した部分などのNGテイクをカットして、使いたいOKテイクをつなぎ合わせていきましょう。
この段階では、間もざっくり整えておけば大丈夫です。
最後にもう一度DAWに戻って全体を調整するので、ここで細かく詰めすぎなくてもOKです。
②ノイズ除去ソフトで音声を開く
DAWで大まかな編集ができたら、次はノイズ除去ソフトで音声を開きます。

私は現在、iZotope RX 10 Standardを使っています。
Adobe Auditionなどひとつでノイズ除去も行えるDAWであれば、そのまま進めてくださいね。
ここからはノイズ除去ソフトを使って、ホワイトノイズやリップノイズなど、録音時に入り込んだ不要な音を少しずつ整えていきます。
③ホワイトノイズを除去する
ホワイトノイズとは、「サァー」「ゴォー」といった、風のように聞こえるノイズのことです。
エアコンの音やPCの駆動音などが原因になることがあり、宅録をしているとどうしても入りやすいノイズのひとつです。
私はまず、このホワイトノイズから先に整えるようにしています。
先に全体にかかっているノイズを減らしておくと、このあとリップノイズや突発的なノイズを探すときにも、不要な音を見つけやすくなります。
④リップノイズや突発的なノイズを除去する
「リップノイズ」とは、舌を動かしたり口を開いたりしたときに鳴る、「クチャ」「ペチャ」といった音のことです。
ナレーションの中で目立つと気になりやすいので、聞き返しながら目立つものを中心に整えていきます。
リップノイズのほかにも、足音や物音など、収録中に入ってしまった突発的なノイズがあれば、この段階でできる範囲で除去していきます。
無理にすべて消そうとすると音が不自然になることもあるので、「気になるノイズを整える」くらいの感覚で大丈夫です。

ナレーター仲間から、『リップノイズが気になるときはりんごジュースを飲むといいよ!』と聞いたことがあります
⑤歯擦音を少し除去する
「歯擦音」とは、「です」「ます」などに含まれる「ス」の音が、鋭い息のように強く聞こえる音のことです。
「サ・シ・ス・セ・ソ」など、Sの子音が入る言葉で目立つことがあります。
少し強く聞こえるな、と感じたときは、歯擦音をほんの少し和らげてあげると、全体が聞きやすくなります。

ただし、弱めすぎると声の自然さがなくなってしまうので、私は「少し気になるところを整える」くらいにしています。
⑥状況に応じてポップノイズを除去する
ポップノイズとは、マイクに息がかかって入る「ボフっ」というノイズのことです。
ポップガードを付けているとそれがガードしてくれて除去せずに済むこともあります。
ポップノイズを強く処理しすぎると、声の低い部分まで削れてしまい、スカスカした音に聞こえることがあるので、処理のかけすぎには少し気をつけたいところです。

ここも「全部きれいにしよう」とするより、気になる部分だけを整えるくらいで大丈夫ですよ
⑦反響音を除去する
反響音とは、声が壁や床、天井などに当たって跳ね返ってきた音のことです。
「部屋鳴り」と呼ばれることもあります。
宅録では、この反響音もできるだけ少なくしたいところです。
ノイズ除去ソフトを使えばある程度は整えられますが、反響音は強く処理しすぎると、声まで不自然に聞こえやすくなります。
処理をかけすぎると、声がギュッと詰まったような音になったり、逆に反響音が多すぎると、お風呂場で録ったような響き方や、カラオケでエコーをかけたような音に聞こえることもあります。
なので、ここも「完全に消す」ことを目指すより、自然に聞こえるところまで少し整えるくらいで大丈夫です。
そして、反響音は整音でどうにかするよりも、録音する段階でできるだけ入れないようにする方が大切です。
リフレクションフィルターや吸音材を使ったり、自作の収録ブースを作ったりして、できるだけ声が跳ね返りにくい環境を作っておくと整音もしやすくなります。

⑧DAWに戻して間を最終調整する
ノイズ除去が終わったら、編集後の音声をDAWで開いて、最後に全体の間を整えていきます。
ここでは、最初にざっくり調整していた間をもう一度聞き直しながら、ナレーション全体が自然に聞こえるように仕上げていきます。
また、
- ノイズ除去をしてもどうしても気になる音が残ってしまった
- 無理に処理したことで声が不自然になってしまった
そんな部分があれば、私はその部分だけ録り直すようにしています。
編集でなんとかしようと頑張りすぎるより、録り直した方がきれいに仕上がることもあります。
その場合は、気になる部分だけ部分録りをして、必要なノイズ除去をしたあと、元の音声と差し替えて整えればOKです。
整音スキルを磨くよりも大切なこと
整音やDAWについて少し勉強したことがある方の中には、

あれ?コンプレッサーとかは使わないの?
と感じる方もいるかもしれません。
でも、私が普段行っている整音作業は、ここまでに紹介したような基本的な作業が中心です。
もちろん案件によって求められることは違いますが、私は宅録ナレーターとして、難しい編集スキルを増やすことよりも、まず「できるだけいい状態で録音すること」の方が大切だと感じています。
ここからは、整音そのものとは少し離れますが、普段の収録で私が大事にしていることも紹介します。
整音で直すより、できるだけきれいな音で録音する
整音でノイズをきれいにすることも大切ですが、そもそも録音するときに、できるだけノイズや反響音が入らないようにする方がずっと楽です。
私も、ノイズ除去ソフトであとから何とかするより、「最初からできるだけきれいに録る」ことを意識しています。
たとえば、
- 反響音を減らすために、吸音材や収録ブースを使う
- 生活音や外の音が少ない時間帯に録音する
- 音割れしないように録音レベルを確認する
といったことです。
音量については、音割れしないよう、ピークがだいたい-5〜-3dBくらいの余裕を持って録音しています。
整音は、録音時にどうしても入ってしまったノイズを少し整えるくらい。
そんな感覚でいると、無理に処理をかけすぎず、自然な音に仕上げやすいと思います。
宅録を始めるときにそろえたい機材は、別の記事でまとめています。
「何を用意したらいいんだろう?」と迷っている方は、こちらも参考にしてみてください。

自分の声を一番魅力的に録れる条件を研究する
「録音する」と一言でいっても、
- マイクとの距離
- 録音するときの姿勢
- 録音する時間帯
- 録音する環境
など、声の聞こえ方に影響するポイントはいろいろあります。
たとえば、座って録るより立った方が声を出しやすいなら、立って録っても大丈夫です。
マイクとの距離を少し変えるだけでも声の聞こえ方は変わりますし、「自分はこのくらいの距離、この姿勢だと録りやすいな」という条件を少しずつ見つけていくのがおすすめです。
宅録なら、自分が一番録りやすい環境をつくりやすいのもいいところです。
以前、音声編集をしている方が「編集で音を作り込むより、まず元の音源をよくする方が大切」というような話をしているのを聞いたことがあります。
その言葉がずっと印象に残っていて、私自身、宅録を続ける中で「本当にその通りだな」と感じるようになりました。
編集であとから何とかすることを考えるよりも、表現も音質も含めて「いいナレーションを録ること」に力を使う。
私は、その方が宅録ナレーターとして大切なんじゃないかなと思っています。

まとめ
いかがでしたでしょうか。
「整音」とは、録音した音声を聞き取りやすい状態に整える作業のことです。
今回紹介した、私が普段行っている整音の流れはこの8ステップです。
- DAWで言い間違いや不要な間をカットする
- ノイズ除去ソフトで音声を開く
- ホワイトノイズを除去する
- リップノイズや突発的なノイズを除去する
- 歯擦音を少し除去する
- 状況に応じてポップノイズを除去する
- 反響音を除去する
- DAWに戻して間を最終調整する
こうして並べると少し多く見えるかもしれませんが、やっていること自体はどれも基本的な作業です。
私自身も、宅録を始めたころは「整音ってなにすればいいの?どれくらいやればいいの?」とかなり悩みました。
でも今やっているのは、ネットやYouTubeなどで学んだ基本的な処理が中心です。
その代わり、何度も音声を聞き返しながら細かいところをチェックして納品しています。

いつも気持ち悪くなるくらい自分の音声を聞き返してます(笑)
そして、整音のスキルを増やすこと以上に大切にしたいのが、できるだけいい状態で録音することです。
ノイズや反響音が入りにくい環境をつくったり、マイクとの距離や姿勢を調整したりしながら、自分の声が一番よく録れる条件を少しずつ探してみてください。
整音は、録音したナレーションをより聞きやすく仕上げるための最後のひと手間。
難しく考えすぎず、まずは基本的なところからで大丈夫ですよ。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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