声優の専門学校のはなし
声優になりたい!
そう思ったら演技の勉強をしなければなりません。
芝居の勉強をするにはどうすればいいか・・・
それを考えたとき思いつくのが
- 専門学校
- 養成所
ではないでしょうか。
でも・・・
専門学校と養成所・・・どっちがいいの?
と疑問に思う方もいらっしゃるかと思います。
今回は専門学校と養成所の両方に通ったことがある私が、専門学校と養成所の違いを説明していきます!
長くなりそうなので今回は専門学校にフォーカスをあてて書いていきますね。
声優になりたいと素敵な夢をお持ちの方のお役に立てればうれしいです。
「こんなこともあるんだ~」程度に受け止めてもらえると幸いです!
専門学校のメリット
まずはメリットから!
①未経験者向けのカリキュラム!
大半の方は演技経験がないのではないでしょうか。
養成所では入所条件に演技経験をあげているところも少なくはありません。
(もちろん未経験歓迎というところもあります)
専門学校は未経験者向けにカリキュラムが組まれているので安心してレッスンに臨めます!
私も小学生の頃に演劇クラブに入ってたくらいでしたが、専門学校でガッツリ鍛え上げられました!
専門学校では
- アニメ・外画のアテレコ
- 舞台制作
- 体力・筋力づくり
- 発声・呼吸法
- 感情開放
- 台本の読み方
- 掛け合い
- エチュード(即興劇)
- ボーカルレッスン
- フリートーク実習(ラジオ実習)
- ダンス
などを2年かけて学んでいきます。
1年次では主に役者としての「土台づくり」を行う学校が多いかと思われます。
- 喉を傷めない響きのある発声の仕方
- 長台詞にも対応できるブレスコントロール
- 自分の体を自由に扱えるように筋力トレーニング
- ダンスや歌を通じてリズム感を鍛える
- 自分の体を動かして演じることで相手との距離感・物事の流れ・リアルな息遣いなどを身につける
- 体の仕組みを理解する
私の通った専門学校では、テキストを基に進める座学も多くあり、
・・・あれ?全然マイク前のレッスンがないな。
声優のレッスンを受けてる気がしないな・・・。
と感じることもありました。
でも基礎って本当に大事で、土台が間違ったまま積み重ねていくと、あとで修正する際にとんでもなく苦労します。
時間をかけてでもしっかりとした土台を作ることが後の役者人生にとって有益な経験になります。
土台の作り方から丁寧に教えてくれるのが専門学校のいいところ!
土台がしっかりしていないといい役者にはなれません。
基礎を身につけ、2年次になると実践的な内容を学び、声優としての力をつけていきます。
- アニメのアテレコ
- 外画のアテレコ
- ナレーション実習
- 台本の読解力を上げる
- 舞台制作
ここでようやく声優っぽいアテレコレッスンが入ってきます。
実践形式のレッスンの進みは早いことも多く、現場さながらに「言われたことを即座にやる」という繰り返し。
これも基礎力がないとうまく応えられないため、1年次の土台作りはとても重要です。
専門学校では、役者になるためを順序立ててレッスンをしてくれるため、理解力も上がって吸収スピードも上がります。
②舞台、ナレーション、歌、ダンスなどたくさん学べる!
声優も歌やダンス、ラジオなど活動の範囲が広くなってきています。
幅広く学んで自分の得意を見つけることができるのも専門学校の魅力の一つかと思います。
舞台
私が通っていた学校は
『声優は俳優の一部』
ということで、演技の基礎を学ぶために舞台(自ら動いて演じる)を学びました。
台本の読み方、役の作り方、他の役者(クラスメイト)との向き合い方などの基礎から学期末には2時間程度の舞台を制作したりしました。
舞台製作では衣装や小道具、チラシ作りなどはクラスで話し合って生徒自らが作っていたので、裏方の大切さも知ることができていい経験が積めます。
舞台上で自分が役者としてキラキラできるのは、裏方のスタッフさんがいるおかげ。
周りへの感謝の気持ちを忘れない。
これは声優に限らず人生でも大切なことですね(´∪`*)
ナレーション
学校でのナレーションレッスンはテレビナレーションやCMナレーションというよりも
- キレイな日本語を話せるようになるため
- 標準語を身につける
- クセのない読みを身につける
- アクセント辞典の見方
といったことを学ぶ時間でした。
地方出身者はもちろん、意外と関東出身者も訛っていたりします。
私は埼玉出身なのですが微妙に訛りがあってなかなか読みが直せないということもありました・・・。
歌
今や声優は演技だけではありません。
歌って踊るなんてことも珍しくないです。
役のオーディションでも、事務所の所属オーディションでも歌の審査があることもあります。
他にも、役を取るにはオーディションを勝ち上がらなくてはならず、そこには第一線で活躍しているプロの声優たちがいます。
演技だけではどう頑張っても敵いっこありません。
演技以外にも身につけて、少しでも強敵に勝てる武器を育てる意味もあるかと思います。
あとはそこまで本格的にはいかなくても
- 発声
- 人前になれる
- 音域を広げる
という意味から歌のレッスンが組み込まれているんだと思います。
ダンス
そんなに本格的なことはやりませんでした。
何かというと筋トレやストレッチの時間だった記憶が・・・;^ω^)
簡単なステップは踏みましたし、グループを作って創作ダンスもやりましたが、舞台をやるための体づくりという意味合いが大きかったような気がします。
体をやわらかくしておけばけがの防止にもなるし、声を出すのに体が固まっていたら出ないのでストレッチは大切です。
長いセリフを言うには呼吸のコントロールが必要で、呼吸のコントロールをするには腹筋や背筋、側筋が必要だったり、横隔膜の動きが大切だったりします。
体は何をするにも根本であるので鍛えておかねばなりません。
ラジオ
ラジオ実習というものもありました。
主にフリートークを鍛えるレッスンです。
ラジオ番組を自分たちで作ります。
ラジオなので台本は進行のみ。
声優になるとラジオに出ることもありますし、フリートークは自己PRやコミュニケーション力の向上にもつながります。
フリートークなんだからなんかテキトーに喋ればいいんでしょ?
と思う方もいるかもしれませんが声だけでしか伝えられないというのは意外と難しいものです。
コレやアレ、ソレでは通じませんし、
異口同音の言葉がある場合はリスナーさんが間違わないように違う言い方をしたり、補足したりけっこうあれやこれやと考えなくてはなりません。
こういった思考やすぐに返せる瞬発力を身につけるためにもラジオ実習はけっこう大事です。
役者は経験が豊富であればあるほどいいかと思います。
演じるときに自分がわからない事柄や職業、状況よりも知っている方が演じやすいし、伝わりやすいです。
その経験を増やすためにもいろいろなことにチャレンジすることが大切ですし、
その経験によって演技に使える気づきがあったり、人として成長する何かを見つけられる可能性が増えます。
幅広く学べるのはとても大きいメリットなんですよ!
③相談しやすい環境がある
学校ですので進路相談室や担当の先生がいるかと思います。
養成所ではそういった場所も人もいません。養成所生に連絡をくれるのは事務所のマネージャーさんだったりするので別のお仕事を抱えている中で対応するためかなり忙しそうです。
変わって専門学校は専用の場所、先生がいるので安心です。
私も長時間入りびたっていたこともありました(笑)
私が通っていた学校では一般職へ就職したい生徒にはその相談も乗ってくれていましたね。
ほんと手厚いケアです。
④学割がきく
無認可のスクールと違って認可の下りた専門学校では学生割引がききます。
定期代も安くなります。定期があればいろんなところへ行きやすくなりますよね!
そこでいろいろなものを見て、聞いて経験を積むのもいいと思います。
ほかにも奨学金の利用もできたりしますよ!
⑤卒業時にオーディションを開催
専門学校の最大のメリットはこれかと思います。
学校に声優事務所のマネージャーさんを招いてオーディションを開催します。
合格者は事務所に直所属だったり、養成所への入所の道が開けます。
自分でも養成所や事務所のオーディションは受けられるものですが、一気に多数の事務所マネージャーさんに見てもらえる機会はそうありません。
多数の事務所から合格をもらえれば自分の行きたいところを選ぶこともできます。
一番いいのは事務所への所属
次いで養成所への特待生入所(学費免除)
といったところでしょうか。
ちなみに。
これは声優業界に限ったことでも、汚いわけでもないですが、『繋がり』というものが大きく作用することもあります。
出身専門学校で合格比率が変わることもあるのです。
仲のいい事務所には多めに生徒を受け入れることもあります。
(「〇〇学校の生徒さんなら信頼できる」「実力がある人が多い」などと思って多く受け入れてくれているんだと思います。)
入ろうとしている専門学校の卒業生がどこの事務所にどれだけ行ったのかを確認するとわかるかも!
専門学校のデメリット
次いでデメリットをお話します。
重ねて申し上げますが私個人が思うデメリットとなっております。
①学費が高い
まあ高いですよね・・・。
1年だけで130万円くらい。
だいたい2年は通うので130万円×2年=260万円・・・。
大学や短大と大差ないかと思われます。
平日は毎日、朝から夕方まで授業があっていろんなことを学べるわけですから致し方ないのかもしれません。
②やりたいことだけをやれない
幅広く学べるからこそ、自分がやりたいことだけをやれないというデメリットはあるかと思います。
例えば歌が苦手で歌いたくないけど、学校では歌のレッスンがあって披露しなくてはならない。
しかし養成所ではそういうレッスンがそもそもない養成所に入所すればいいんです。(あまり歌のレッスンを必須にしている養成所はありませんが)
でも専門学校には大半歌の授業があります。
もしも
- アニメのレッスンだけをやりたい!
- 外画のレッスンだけやりたい!
と決めているならば、そういうことをやっている養成所で学んだ方がいいかもしれません。
とはいえ。
何事も経験なので、やったことがないのに「これはやらない!」と決めつけるのはあまりオススメできません。
知らないこと、興味がないことでもやってみたら案外そこから何か新しい発見があるかもしれませんよ!
役者は経験が大事!!
③朝から夕方まで授業がある
専門学校は平日の朝から夕方まで授業があるので短時間のバイトはできても会社勤めしながら通うことはできません。
時間の融通が利きづらい会社員の方はお仕事を辞めるか超長期でお休みをもらうか(そんなことできるのかな・・・)しないと通うことができないのがデメリットですね。
④高校卒業かそれと同等の資格がないと入学できない
専門学校は高校卒業後か高卒と同等の学力がある場合のみ入学資格があります。
小学生や中学生で「声優になりたい!」と思っても専門学校には高校卒業まで待つことになります。
「一刻も早く演技の勉強がしたい!」「事務所に入りたい!」なら養成所へ入所するほうがいいかもしれません。
⑤デビューまでに時間がかかる
よく専門学校のオーディション結果で
『事務所所属〇〇%!』
などと書いてありますが、卒業後にすぐ所属する人はほとんどいないかと思います。
大半の方が養成所へ入所することになります。
養成所でも1~2年レッスンを積んだのちに事務所の所属オーディションを受けるので、専門学校で2年学んでいてもまた2年程度通い、その後にやっと事務所の所属オーディションを受けられるのです。(しかも合格率は低い!)
だいたい専門学校入学が18~19歳。
卒業時が20~21歳。
その後養成所へ2年行くと22~23歳。
しかもこれはだいたいの方が事務所に所属できる最短の年齢です。
現実的には事務所に所属できる人は少ないので大半の方が所属することもなく終わります。
もちろん在学中にデビューできる方もいますがかなり少数です。
すぐにでもデビューしたいのであれば専門学校よりも事務所直結の養成所に入所した方が希望があるかと思います。
⑥モチベーションの差が大きい
好きが高じて声優を目指す方は多いと思います。
それはとてもいいことだと思います。好きなことをお仕事にできたら楽しいですよね!
でも好きだからこそ出てくるのがモチベーションの差。
『好きが高じて声優を目指し、絶対に声優になる!』という方と
『大学に進学のも就職も嫌だったし、アニメやゲームが好きだから入学した』という方では熱量に差が出てきて最悪仲たがいを起こすこともあります。
朝早く登校して自主練、放課後は部屋を借りて自主練をしながら授業に臨む人からすると、
朝はギリギリ登校(たまに遅刻や連絡なしの欠席)、放課後は素早く帰宅or友人と遊んでいる人と一緒に舞台を制作したり授業でグループを作って発表するのは結構イライラするものです・・・。
残念ながらみんながみんな同じ熱量ではないのです・・・。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
私の経験と考えを踏まえてたくさん書き上げてみました。
演技未経験だった私には基礎の基礎から学べて、気の合う仲間と同じ方向を向いて切磋琢磨できた時間は宝物です。
後悔しているのは「時間」ですね。
初心者でも通える養成所に行って早くに所属オーディションを受けたかったなと思ってました。
・・・まあ、早く受けたところで所属できなかったんでしょうけどね(‐∀‐;;
時間と莫大なお金を思うと後悔の思いもあります。
個人的には
- 未経験で楽しみながら学びたいのであれば専門学校
- お金と時間を節約してデビューへ近道したいのであれば養成所
かな。
夢を持つことはとても素敵なことです。
そしてそれを実現しようと動くことは素晴らしいと思います。
どうか「好き」の気持ちを大事に楽しんで突き進んでもらいたいものです。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました╰(*´︶`*)╯Thank you.♥
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